木蔭

作詞・作曲 下田 民子


涼風をはらませて サワサワと枝葉がゆれる
こもれ陽のあみ目の下 そのやさしい愛に抱かれる
もうどれほど長い間 あなたはここにたたずんで
移りゆく時代の風景を ただ静かに見つめて来た

 

木蔭に集う すべての生命いのちを守り包むように
広げたその枝は 大地が創り上げたパラソル
両手に抱いて まだ余りある大きなその幹を
さすって 息吹きを感じよう
昔たわむれた 友だちのように

 

巣立ちゆく鳥たちは なつかしさにまた舞い戻り
かくれんぼ陽向ぼっこ 満ち足りては再びはばたく
ただほほえみ眺めながら あなたは何を思うだろう
近づく開発の足音が その姿を消そうとする

 

木蔭に憩う 愛を求めてくつろぐ人々に
癒しのハーモニー 光と風と奏でながら
一縷いちるの望み 人と自然が共に生きる道を
声なき声で ささやきかける
失われてゆく 優しさを憂えて

 

木蔭に集う すべての生命いのちを守る傘になり
広げたその枝が ひときわ大きくゆらめくよ
何も言えない あなたの生命いのちの奥の悲しみを
代わりに 私が伝えよう
愛を忘れかけてゆく 心に

 

受け継がれてく 生命いのちあるものだけが語れること
決して人間ひとの手では 築き上げることできぬもの
いつか木蔭で まだ見ぬ子供達が語る夢は
安らぎに 満ちると信じよう
それははるかな未来への 希望
はるかな未来への 希望

 

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