Webせせらぎ通信 Vol.1


出会いの素晴らしさ・感動の素晴らしさ

トータルプランナー 下田 民子

 昨年、松本市民会館の建て直しを巡って地元に反対運動が起き、その地元の代表者になられた吉田真理子さんに出会ったのは7月6日でした。長崎県諫早湾の埋め立て問題をテーマにした演劇の公演会にスタッフとして参加していた私に、知人が紹介してくれたのです。そのとき吉田さんは、建設によって伐採される予定の樹齢300年のけやきを守りたい一心で代表になられた事を話され、「あのけやきを守りたいんです。どうか力を貸して下さい。」と涙を浮かべて私に訴えられました。その涙に心打たれ無力な私にできることはないだろうかと考え、出来上がったのが「木陰」という曲です。この曲を「松本市民会館建設を見直しを求めるみんなの会」の発足総会に飛び入りで歌わせて頂いたところ、吉田さんに大変感激して頂き、CD制作の資金を提供して下さいました。本当にありがとうございました。吉田さんからの手記を掲載させて頂きます。

 

感動をありがとう

長野県松本市 吉田 真理子

 私の家の前には大きなけやきの木が2本あります。樹齢300年とも伝えられるけやきはそれは立派な風格で立っています。春の輝くばかりの芽吹きは、フワフワとした希望を与えてくれ、夏の大地を覆うごとく茂る葉からは涼しい風が運ばれ、パラソルの様な枝葉は暑い日差しから私たちを守ってくれるのです。秋の燃える様な紅葉は家の窓そのものが額となり、世界一素晴らしい絵画と化してしまうのです。ここに住む鳥たちの声で季節を感じます。多くの生物も人間も、この恵みに生かされ、守られている事に心からの感謝で手を合わせる日々です。ある時事件が起きました。それは市民会館改築による開発で、このけやきをはじめ、深志公園の多くの木々が抹殺され、歴史ある池もつぶされ、ライラック公園も無くなってしまうというのです。人間の都合でこんなにも大切な多くの命が奪われていいのでしょうか?「私の命を助けて!」私は叫びました。立ち上がりました。しかし、行政の前には地元の「エゴ」になってしまうのです。そんな時、下田さんの出会いがありました。下田さんは私の叫びを歌にして下さいました。その詞は、まるでけやきの心そのものであり、優しく美しいメロディーは心を洗い清めるように流れ、天使の様な歌声は私の心を優しく包み癒してくれるのです。初めて聴いたとき、涙が止まらず、感動で震えてしまいました。「歌」というものがこれほど人の心に響き、感動させる「心」だということを、この歳になって初めて知ったのです。私の人生で初めて体験する衝撃的な感動でした。「自然保護」「環境保護」を訴えるとき、拳を振り上げる方法もありましょう。しかし人の心を動かすのは「心」です。暖かく優しい心で訴えたなら、きっとその心は人々に感動を与え、人々が手をつなぎ合える日が来ると信じます。これからももっともっと多くの歌を歌い続けて下さい。本当に感動をありがとうございました。感謝でございます。下田さんの「木陰」の曲が発表になった次の日、けやきの木が「残される」と発表がありました。「心」が通じたのです。奇跡が起こったのです!しかし他の多くの木々、自然が破壊されます。二十一世紀は人間が破壊した自然を人間の手で元に戻すようにしなければならない義務があります。私たちは心を以て奇跡がもっと起こるように努力し頑張り続けなければと思います。

 

せせらぎ通信29号より抜粋

 

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